1950年、愛媛県生まれ。1978年、慶應義塾大学医学部卒業と同時に、同大学の精神神経学教室に入室。その後、コーネル大学医学部、ペンシルバニア大学医学部への留学を経て、慶應義塾大学教授(保健管理センター)を務めた後、2011年6月より、独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター センター長に就任、現在顧問。現在、一般社団法人認知行動療法研修開発センター理事長、ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。
近年、精神医療の現場で注目されている認知療法の日本における第一人者で、国際的な学術団体Academy of Cognitive Therapyの設立フェローで公認スーパーバイザーであり、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。一般社団法人認知行動療法研修開発センター理事長、日本ストレス学会理事長、日本ポジティブサイコロジー医学会理事長など、諸学会の要職を務める。
2001年からは、日本経済新聞にてコラム「こころの健康学」を連載中。著書に『こころが晴れるノート』(創元社)、『はじめての認知療法』(講談社現代新書)、『マンガでわかりやすいうつ病の認知行動療法』など多数。
厚生労働省が行った平成19年の労働者健康状況調査によれば、
仕事に関して強い不安やストレスを感じている人は6割を超えるそうです。
仕事に限らず、家事や育児、人間関係などで落ち込んだり、
不安を感じたりということが、残念ながら、少なくありません。
そうしたときに試していただきたいのが「認知療法」の考え方です。
認知療法は、うつ病やパニック障害などの精神疾患の治療で、
薬物療法に匹敵する効果があるとして世界的に注目されている精神療法(カウンセリング)です。
米国のラスカー賞(臨床医学部門)を受賞しノーベル賞にもノミネートされた、
精神科医アーロン・ベック博士が開発した精神療法で、欧米でその効果が確認され、
わが国でも厚生労働省の研究班がうつ病などの治療での効果を報告しています。
また、うつ病などの精神疾患だけでなく、日常生活でのストレスを和らげる効果があるとされ、
認知療法を利用した社員向けの講習会で社員のうつ度が改善したと報告されています。
ストレスを感じるとどうしても私たちは悲観的に考えがちになって、
問題を解決できないこころの状態に追い込んでいくのですが、
認知療法は、そうした考え方のバランスを取って
問題に上手に対応できるこころの状態をつくっていくコツを身につける方法です。
認知療法では、悲観的になりすぎず、かといって楽観的にもなりすぎず、
地に足のついた現実的でしなやかな考え方ができるように練習していきます。
もっとも、こうしたしなやかさは特別なことではなく、私たちがいつもなら普通にできていることです。
ところが、ストレスを感じるとそれができなくなってきます。
そうしたときに認知療法のスキルを使えば、自分の持っている「こころの力」に気づき、
さらにのばしていくことができるようになります。
また、こうした方法は、仕事や人間関係にも活かすことができます。
このウェブサイトは、そうした認知療法の具体的なスキルを身につけていくことを目的に企画したものです。
皆様のこころの健康を高めるために、ぜひご活用ください。
精神科医 大野 裕