一般に、「コラム法」と呼ばれる方法を練習します。気持ちが沈み込んだとき、不安になったとき、自分を責めてしまうとき、周囲の人に対して不満を感じたとき、孤独感が強くなってきたときなどに使えます。
コラム法は、「こころが晴れるコラム」で説明したように、認知療法・認知行動療法で一番多く使われているスキルです。このコーナーは練習を兼ねていますので、「こころが晴れるコラム」の7つのコラムに加えて、行動を振り返ったり、考え方のくせに目を向けたりするコラムがあります。
コラム法は、専門的には認知再構成法と呼ばれるのですが、内容を見ていただければわかるように、私たちが友達と話をしていて気持ちが楽になるときの会話の流れを書き出したものでもあります。
うまく進んだカウンセリングのときも、このような流れになっています。ですから、この方法が身につけば、自分が自分の友達になって自分の相談に乗ることができますし、自分で自分にカウンセリングをすることもできます。まさに一人二役を可能にするツールです。
もちろん、人の相談に乗るときにも役に立ちます。この方法について詳しく知りたい方は、「こころの健康講座」の中の『解説コラム 自分でできる「認知療法」入門』(「思い込み」から抜け出せないとき、別の考え方もあることに気づく)や講演映像をご覧になってください。
7つのスキル練習の「認知再構成法」では、根拠と反証を書き込むと、自動的に適応的思考(バランスのとれた心が軽くなる考え)が表示されるようになっています。それをもとに自分なりに考えを広げていくことで、新たな気づきが生まれます。
「行動活性化」と呼ばれる認知療法・認知行動療法のスキルを練習します。気力がわかないとき、生き生きとした感じがなくなってきたとき、楽しめないときなどに使えます。
私たちがやる気が出るのは、何かをして「良かった」と思うからです。「良かった」「楽しかった」と思えば、「またやってみよう」と考えるようになります。「行動活性化」というのは、そのようにポジティブになれる行動を無理のない形で少しずつ増やしていって、行動を通してやる気を出していく方法です。
しかし、私たちの行動は、ほとんど意識しないで自動的にしています。ですから、行動活性化は、まず行動を振り返ることから始めます。そして、つらくなった行動を減らし、気持ちが軽くなった行動や楽しめた行動、やりがいを感じられた行動を増やしていくようにします。言ってみれば、上手な気分転換のコツが「行動活性化」です。
この方法について詳しく知りたい方は、「こころの健康講座」の中の『解説コラム 自分でできる「認知療法」入門』(行動が変われば気持ちが変わる?)や講演映像をご覧になってください。
7つのスキル練習の「行動活性化」では、日々の行動を書き込んでいくと、気持ちが軽くなる行動やつらくなる行動をリストアップすることができ、それを元に次の行動の計画を立てることができます。
ここで練習する「問題解決スキル」というのは、問題に気づいたとき、上手にその問題を解決する方法です。困った問題に直面したときや無理なことを要求されたときなどに使えます。これもまた、私たちが日常使っている方法をまとめたものです。
私たちは、問題に直面したときには、まず問題を整理して、ひとずつ解決していくようにするはずです。そのときのポイントは、問題をできるだけ細かく具体的にすることと、良いか悪いかは後まわしにして(判断遅延の法則)、できるだけ多くの解決策を考えること(数の法則)です。その中から良い解決策を見つけ出して、計画を立てて問題解決に取り組んでいきます。そのコツがわかれば、これからも問題に上手に対処できるようになります。
この方法について詳しく知りたい方は、「こころの健康講座」の中の『解説コラム 自分でできる「認知療法」入門』(問題解決の糸口を発見する!)や講演映像をご覧になってください。
7つのスキル練習の「問題解決」では、日々の行動を書き込んでいくと、気持ちが軽くなる行動やつらくなる行動をリストアップすることができ、それを元に次の行動の計画を立てることができます。
「状況分析」と呼ばれる方法を練習します。絶望的になったときやあきらめの気持ちが強くなったときなどに使えます。
私たちは、気持ちが沈んでいるとき、とくに長くそうした状態が続いているときには、「どうせ何をやってもダメだ」と考えてあきらめているものです。しかし、あきらめてしまうと、そこから先に進むことができません。自分で可能性を閉じてしまうことになります。
そうしたときに、この方法を使って行動してみると、新しい可能性が見えてきます。そのときのポイントは、自分が希望する現実と実際に起きた現実を書き出してみて、そのふたつのギャップを埋めるためにどうすれば良いかを考えてみることにあります。少しずつでもそのギャップを埋める手立てが見つかって、それが実現する方向に進むことができれば、希望がわいてきて、それが先に進むエネルギーになってきます。
この方法について詳しく知りたい方は、『解説コラム 自分でできる「認知療法」入門』(補遺:期待する現実を作り出す――準備中)をご覧になってください。この方法を使って、長く続いた落ち込みから回復できた方もいらっしゃいます。
「毎日できるこころの整理術」の「リラックスする技術」のコーナーで書いたように、これは「漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)」と呼ばれる、心身の緊張をとるスキルです。体が緊張しているときや不安発作が起きそうになるときなどに使えます。
この方法の特徴は、筋肉を緊張させた後に力を抜くというところにあります。私たちは、リラックスしようとすると、まず筋肉の力を抜こうとしますが、それだと逆に意識して力が入ってしまうことがよくあります。ですから、まず力を入れて、そしてその力を抜いて、力が抜けていくのを体で感じるのが、漸進的筋弛緩法です。
正式には、筋肉群ごとに、全身の筋肉をリラックスさせるようにしますが、そうした余裕がないときには、腕だけなど、一部の筋肉群を使うだけでも役に立ちます。それができるようになるためにも、最初は、毎日少しだけでも時間を作って練習してみるようにしてください。
ここでは「アサーション」と呼ばれるスキルを練習します。自分の気持ちを相手に上手に伝えられないときや相手にうまく反論できなかったときなどに使えます。
自分の気持ちや考えを伝えたいとき、私たちはどのようにするでしょうか。強い言い方を考えて「これを言うときつすぎるかな」と自制し、弱い言い方を頭に浮かべて「これだと通じないだろうな」と考え直す。そのようにしながら、ほどよい言い方を見つけていっています。ほとんど意識しないで行っているその私たちの工夫を少し意識して練習するのがこのコーナーです。
この方法について詳しく知りたい方は、「こころの健康講座」の中の『解説コラム 自分でできる「認知療法」入門』(「こころがどんどん軽くなるステップ」の中の「自分の気持ちを伝えるアサーション」)や講演映像をご覧になってください。
このコーナーでは、日々の行動を書き込んでいくと、気持ちが軽くなる行動やつらくなる行動をリストアップすることができ、それを元に次の行動の計画を立てることができます。
専門的には「スキーマ」と呼ばれるこころのクセを書き換えて、弱点を強みに変える練習をするコーナーです。
自分の性格の良い面を出したいときや性格の良くない面が出過ぎると感じているときなどに使えます。
スキーマというのは、すべての人がもっている考え方のクセで、わかりやすくいうと、性格とか、パーソナリティと呼ばれているものです。性格やパーソナリティを変えることは難しいのですが、欠点のように思える性格も、うまく使えば長所になります。そのためには、「この性格がダメだ」と決めつけて自己否定するのではなく、その性格の特徴を捕まえて、欠点が強くなりすぎず、逆に長所として生かせるように、こころの法則を書き換えてみると良いでしょう。
この方法について詳しく知りたい方は、「こころの健康講座」の中の『解説コラム 自分でできる「認知療法」入門』(こころのクセを書き換える?)をご覧になってください。